2. 変数#

2.1. 基本#

代入文を書くと変数が作成され、その変数に値がセットされる。C言語とは異なり、変数の宣言時に型を指定しなくてもよい(Pythonは動的型付け言語である)。

x = 3

このように作成された変数は、Pythonのインタプリタが終了するまで保持される。変数の値を確認するには、その変数を評価させればよい。

x
3

変数の型はtype関数で確認できる。整数はint型で表現される。

type(x)
int

\(x \leftarrow x + 1\)といった変数の値の更新にも、代入演算子=が使える。

x = x + 1
x
4

上の更新処理は次のように書くこともできる(+=演算子はC言語にもあるが、C言語の++演算子に相当するものはない)。

x += 1
x
5

同様に、-=, *=, /=という演算子が用意されている。なお、以下のコードでは変数の値の更新と、更新後の変数の評価(表示)を一つのセルで行っている。

x -= 2
x
3
x *= 2
x
6
x /= 3
x
2.0

浮動小数点型の変数を作成するには、値を小数点付きで表現すればよい。

x = 1.5
x
1.5

浮動少数点数はfloat型で表現される。

type(x)
float

浮動小数点型から整数型に変換するには、int関数を用いる。以下の例ではxの値が切り捨てられる。

int(x)
1

整数型から浮動小数点型に変換するには、float関数を用いる。

float(2)
2.0

変数(オブジェクト)の削除はdel文で行う。ただ、Pythonでは使わなくなったメモリ領域は自動的に開放される(ガーベージコレクション)ため、明示的にdel文で変数を削除することは稀である。

del x

変数xを削除すると、評価できなくなる。

x
---------------------------------------------------------------------------
NameError                                 Traceback (most recent call last)
/tmp/ipykernel_206365/32546335.py in <module>
----> 1 x

NameError: name 'x' is not defined

2.2. 変数の再評価#

\(x = 1\)として\(y \leftarrow x^2 + 2x + 1\)を計算してみる。

x = 1.
y = x ** 2 + 2 * x + 1
y
4.0

変数xの値を2に変更してからyを評価しても、変数yの値は再計算されない(元の値から変化しない)。

x = 2
y
4.0

再計算をするには、変数yの代入文を再度実行する必要がある。

y = x ** 2 + 2 * x + 1
y
9

2.3. 複数の変数への代入#

一行で複数の変数にまとめて値を代入できる(厳密には後で説明するタプル型を介した代入である)。

x, y = 3, 1
x
3
y
1

変数の値の入れ替えも簡単に書ける(一時的な変数を使わずに書ける)。

x, y = y, x
x
1
y
3

2.4. 変数の型アノテーション (Python 3.6以降)#

Pythonでは型を指定して変数を作成することはできないが、変数の型の説明(型アノテーションや型ヒントと呼ばれる)を付けることができる。Pythonに入門したての頃は型アノテーションを使いこなす必要はないが、型アノテーションを使った変数を見ても驚かないように、例を示しておく。

以下は変数xはint型であると説明しながら、1を代入する例である。

x: int = 1

以下は変数xはint型であると説明しておきながら、浮動小数点数である1.0を代入する例である。これは型アノテーションと変数の型が一致していない悪い例である。

x: int = 1.

実際に、変数xの型を調べてみると、int型ではなくfloat型となっている。

type(x)
float

このように、型アノテーションは変数の型を強制するものではないが、ソースコードの可読性の向上、エディタの自動補完機能、型チェックなどに用いられる。